大判例

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東京高等裁判所 昭和40年(行ナ)84号 判決

一、特許庁における手続経過及び審決内容に関する原告の主張事実は当事者間に争いがない。

二、そこで本件審決の当否について検討する。

審決は現行特許法施行当時係属中のいわゆる旧法処理事件における査定系審判の確定審決に対しては、現行特許法第百七十一条の適用はないとするのであり、その理由としては、特別の規定がない限り,右現行法の規定の効力が旧法処理事件に遡及することはあり得ないからとするのである。

しかし、いわゆる旧法処理事件に旧法の適用のあるのは査定又は審決の確定までにすぎないものであること特許法施行法第二十条の規定に徴し明らかなところであり、査定又は審決の確定後は、逆に特別の規定のない限り、すべて現行法の規定によつて規律するのが法の原則であるといわなければならない。そして査定系審判の旧法処理事件の審決に対する再審請求のことについては現行法施行法にも現行法にもなんら特別の規定はないのであるから、右審決についても現行法第百七十一条の適用はあるものと解するのが相当である。そしてこれは現行法施行後に審決がせられ、それが確定(この確定は再審事件において再審事由のある場合のことを考えれば、一応の確定というべきものではあろうが。)したものである以上、その確定審決に対し、現行法がそのまま適用せられるだけのことであつて、決して本件審決のいうように現行法の規定の効力が旧法処理事件に遡及するものと考うべきものではない。

以上の通りであるから、査定系の旧法処理事件の確定審決に対しては現行法第百七十一条の適用はなく、従つて査定系の本件審判事件の確定審決に対しては再審の請求が許されないものとする本件審決は不当である。(ただ原告は、本件記録によれば、再審請求と、通常の審判請求等の不服申立方法との異同についての認識がないようである。再審請求には再審事由の存することが必要であるのはいうをまたない。念のため)。

三、よつて前記のような理由によつて原告の本件再審請求を却下した審決を違法として取消す。

審決が本件再審の請求を却下した理由は次の通りである。

『本件再審の請求は、昭和三十八年十月九日に特許法施行法第二十条第一項の規定により従前の例によりなされた昭和三十五年抗告審判第一〇九七号(昭和三十四年特許願第九六四二号拒絶査定不服抗告審判事件)の審決に対し、昭和三十九年三月十八日抗告審判請求人によつてなされたものである。

ところで、旧特許法においては本件のような、いわゆる査定系審判の確定審決については再審を請求することができなかつたのにかかわらず、昭和三十五年四月一日から施行された現行法の特許法第百七十一条には、「確定審決に対しては、当事者は、再審を請求することができる。」とその第一項に査定系審判の確定審決についても再審を請求できるように規定された。

しかしながら旧法により処理された査定系審判の確定審決に対し特別の規定がない限り現行法の特許法第百七十一条の効力が遡及することはあり得ないので、特許法施行法第二十条第一項の規定により、なお従前の例によつて審理されたいわゆる旧法処理による本件のような拒絶査定不服の抗告審判の確定審決に対する再審は現行法の特許法により請求をすることができないものと認める。』

というのである。

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